Laravel × Vue.js × Inertia.jsで構築するモダンWebアプリのすすめ
はじめに
近年、Webアプリケーション開発においては「SPA(シングルページアプリケーション)」や「リアクティブなUI」が求められることが増えてきました。そんな中で注目を集めているのが、Laravel × Vue.js × Inertia.js の組み合わせです。
この構成は、Laravelの堅牢なバックエンドと、Vue.jsのインタラクティブなフロントエンド、そしてInertia.jsによるスムーズな橋渡しによって、APIレスでSPA的なUXを実現できる、まさに現代的な開発スタイルです。
本記事では、この構成のメリットや導入方法、プロジェクト構成のベストプラクティスを、現役Webエンジニアの視点から解説します。
1. なぜ Inertia.js?従来のAPI方式との違い
従来のSPA構成(Laravel API + Vue.jsフロント)では、CORS、認証トークン、APIの構築・バージョン管理など、多くの煩雑な作業が必要でした。
Inertia.jsを使うことで、Laravelのルーティング・バリデーション・セッション管理をそのまま使いつつ、VueのSPA的挙動を実現できます。
- Laravel Bladeの代わりにVueを使える
- バリデーションエラーやリダイレクトもLaravel側で完結
- JavaScriptからLaravelのルートにPOST/PUTなどが直接送信できる
これにより、**VueとLaravelの"いいとこ取り"**が可能になります。
2. Laravel × Inertia.js のセットアップ手順
composer require inertiajs/inertia-laravel
npm install @inertiajs/inertia @inertiajs/inertia-vue3
npm install vue@next
app/Http/Controllers
内でInertia::render()
を使ってVueコンポーネントを返す- フロントは
resources/js/Pages/
にVueコンポーネントを配置 resources/js/app.js
でInertiaを初期化
import { createApp, h } from 'vue';
import { createInertiaApp } from '@inertiajs/inertia-vue3';
createInertiaApp({
resolve: name => require(`./Pages/${name}`),
setup({ el, App, props, plugin }) {
createApp({ render: () => h(App, props) })
.use(plugin)
.mount(el);
},
});

3. Vue 3 と組み合わせるメリット
- Composition APIによるコードの再利用性と読みやすさ
<script setup>
構文でテンプレートがスッキリref
,computed
,watch
などがより直感的に
<script setup>
import { ref } from 'vue';
const count = ref(0);
</script>
Inertia.jsはVue 3と相性が良く、モダンなコンポーネント構成が可能になります。
4. おすすめのディレクトリ構成(Laravel側)
app/
├── Http/
│ ├── Controllers/
│ └── Requests/
resources/
├── js/
│ ├── Pages/
│ ├── Components/
│ └── Layouts/
routes/
├── web.php
- 共通UI(Header/Footer)は
Layouts
にまとめる Components
に再利用可能なVueパーツを切り出す- ビュー単位で
Pages/
を分けることで管理がラク
5. Laravel側の便利機能がそのまま使える
Request
クラスによるバリデーションRedirect::back()->withErrors()
でVueにエラーを渡せる- 認証(
Auth::check()
)も従来通り使える
Laravelの強力な機能をVueに自然にブリッジできる点が最大の魅力です。
6. 実案件での活用例と所感
実際にこの構成で以下のような案件を実装しています:
- 管理画面付きの顧客管理システム
- 会員登録&課金機能を備えたBtoC向けWebサービス
- 投稿機能・コメント機能をもつ社内SNSアプリ
開発スピードが速く、Laravelの得意な部分を殺さずにSPAらしい体験が作れるので、中小規模プロジェクトやスタートアップ案件に非常に相性が良いと感じています。

まとめ:次世代スタンダードになりうる構成
Laravel × Vue.js × Inertia.jsの構成は、APIレスでありながらSPA体験を実現できる新しいアーキテクチャとして、多くの開発者から注目を集めています。
学習コストもそれほど高くなく、Laravelの基礎があればすぐに導入可能です。VueやReactの理解があればさらに自由度も高まります。
これからWebエンジニアとしてモダンな技術にキャッチアップしたい方は、ぜひ一度この構成に触れてみてください。