
OAuth基礎ガイド|ログインやAPI連携で使われる仕組みをやさしく紹介
はじめに
「Googleアカウントでログイン」「X(旧Twitter)でログイン」といったボタンを見たことがある人は多いと思います。
IDやパスワードを新しく作らずに、普段使っているアカウントですぐにサービスを利用できるのはとても便利ですよね。
この仕組みを支えているのが OAuth(オーオース) という技術です。
OAuthは、Webサービスやアプリが「安全に権限をやり取りする」ための仕組みであり、現代のインターネットに欠かせない基盤技術となっています。
本記事では、初心者や中級者の方に向けて OAuthとは何か・どのように使われているのか・仕組みと活用方法・注意点 をわかりやすく解説します。
OAuthとは?
OAuthは 「他のサービスに権限を安全に渡す仕組み」 です。
正式には Open Authorization の略で、「オープンな認可方式」を意味します。
たとえば、あなたがSpotifyに「Googleアカウントでログイン」したい場合、Spotifyに直接Googleのパスワードを渡してしまうと危険ですよね。
そこでOAuthを使うことで、パスワードを教えることなく「Googleが認証した証拠(アクセストークン)」だけをSpotifyに渡せるようになります。
これにより、
- パスワードの使い回しを避けられる
- サービスごとに権限をコントロールできる
- 安全かつ便利にログインやAPI利用ができる
といったメリットが得られます。
認証と認可の違い
OAuthを理解する上で大切なのが、認証(Authentication) と 認可(Authorization) の違いです。
- 認証(Authentication)
あなたが「誰」であるかを確認すること。
例:IDとパスワードで本人確認する。 - 認可(Authorization)
あなたに「何をしてよいか」を決めること。
例:Spotifyが「あなたのGoogleカレンダーに予定を書き込む権限」を得る。
OAuthはもともと「認可」を目的に作られた仕組みですが、現在では「ログイン(認証)」用途にも使われるケースが多くあります。
OAuthの登場人物
OAuthの仕組みには、4つの役割が登場します。
- リソースオーナー(Resource Owner)
→ データを持っている本人(ユーザー) - クライアント(Client)
→ ユーザーが使うアプリやWebサービス(Spotify、Slackなど) - リソースサーバー(Resource Server)
→ 実際にデータを持っているサーバー(GoogleカレンダーやFacebook APIなど) - 認可サーバー(Authorization Server)
→ ログインや認可を管理するサーバー(GoogleやFacebookの認証サーバーなど)
この4者がやり取りすることで、アプリは「安全にユーザーのデータにアクセスする権限」を得られます。
OAuthの基本フロー
ここでは最もよく使われる「認可コードフロー」を例に説明します。
例:あるアプリがGoogleカレンダーに予定を書き込む場合
- ユーザーがアプリで「Googleでログイン」を選ぶ
→ アプリは「Googleに認可を求めたい」とリダイレクトします。 - Googleが「このアプリに権限を与えますか?」と確認
→ 「カレンダーにアクセスする権限をこのアプリに与えますか?」と表示されます。 - ユーザーが承認する
→ OKを押すと、Googleは「認可コード」をアプリに返します。 - アプリが認可コードを使ってアクセストークンを取得
→ アプリは認可サーバーに「認可コードを渡すからアクセストークンをください」と依頼します。 - アクセストークンでデータにアクセス
→ アプリはそのアクセストークンを使ってGoogleカレンダーにアクセスし、予定を書き込めるようになります。
OAuthのよくある利用例
OAuthは日常のさまざまな場面で使われています。
- SNSログイン
→ Google・Facebook・X(旧Twitter)でログイン - 外部サービス連携
→ Trelloの通知をSlackに流す
→ NotionからGoogle Driveを利用する - モバイルアプリでのログイン
→ LINEアカウントでログインするアプリ
OAuth 1.0とOAuth 2.0の違い
- OAuth 1.0
署名ベースで仕組みが複雑。今ではほとんど使われない。 - OAuth 2.0
アクセストークン方式でシンプルかつ拡張性が高い。現在の主流。
OAuthとセキュリティ
OAuthは便利ですが、使い方を間違えるとリスクもあります。
- アクセストークンの漏洩 → 第三者に権限を盗まれる危険
- 有効期限の管理 → 長すぎると危険、短すぎると使いにくい
- リフレッシュトークン → 有効期限を安全に更新する仕組み
さらに近年では、モバイルアプリなどでの利用を安全にするため PKCE(Proof Key for Code Exchange) という拡張も使われています。
OAuthの課題と注意点
- 速度低下の可能性:認証フローが複雑で、最初のログインに時間がかかることがある
- 法的・契約上の制約:一部の国ではVPNやOAuthの使い方に制限がある場合もある
- 完全な匿名性はない:Cookieやブラウザ追跡によって補足されるリスクもある
まとめ
- OAuthは「安全に権限を渡す仕組み」
- ログイン(認証)やAPI連携(認可)に広く使われている
- アクセストークンやリフレッシュトークンを使い分けて安全性を確保
- 初心者でも「Googleでログイン」や「LINEでログイン」の裏側で動いていると理解すればイメージしやすい
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